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尾鈴山
【おすずやま】


新納(にいろ)山ともいい,男鈴山とも書く。児湯(こゆ)郡木城(きじよう)町と同郡都農(つの)町の境界にあり,北面は東臼杵(ひがしうすき)郡東郷町に属す山。標高1,405.2m。日向灘に面して宮崎平野北部にそびえる独立山体。全体に南東部が緩やかに傾き,西・北面は急崖を連ねる。地質は尾鈴山酸性岩類と呼ばれ,溶結凝灰岩・花崗斑岩・石英斑岩・花崗岩・流紋岩などからなる。噴出時期は約1,500万年前の第三紀中世頃で,火砕流による溶結凝灰石を堆積したのち,マグマが貫入し花崗斑岩の岩体を形成した。これらは冷却の過程で美しい柱状節理を発達させ,遠く日向市海岸部にまで分布する。その後北西部が隆起して現在の山容となる。南東部は名貫川の源流部で,欅(けやき)谷・矢研(やとぎ)谷には酸性岩を削る無数の瀑布がかかり,尾鈴山瀑布群として国名勝の指定を受けている。代表的なものに,矢研滝(落差73m)・白滝(同75m)などがある。西面は小丸川の流域で著しい穿入曲流谷を形成する。山麓は名貫川が形成した隆起扇状地で,唐瀬原(からせばる)・三日月原(みかづきばる)などの海岸平野となっている。岩体の貫入に伴い,付近には松尾(砒素)・男錫(錫)・木城(錫)など多くの鉱山があった。豊富な降水量に恵まれ,シャクナゲや尾鈴寒蘭の自生地としても知られる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7234629