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丸御厨(中世)


 鎌倉期~戦国期に見える御厨名。安房国のうち。古代の満禄【まろ】郷を基盤として成立したと考えられる。「吾妻鏡」治承4年9月11日条に,同年8月,石橋山合戦に敗れて安房国に退いた源頼朝が,この日丸五郎信俊の案内で「安房国丸御厨」を巡見したことが見える。同日条によれば,当地は源頼義が前九年の役平定の功賞として朝廷から拝領し,その後源為義・義朝と相伝,平治元年6月1日に義朝が子息頼朝の官位昇進を祈願して伊勢神宮に寄進して以来,神宮御厨となった。頼朝はその効験によって同年6月28日蔵人に補任されたという。丸五郎信俊は当地を本拠とする在地領主で,すでに「保元物語」に源義朝に属した武士として丸太郎があることから,丸氏は代々源氏の棟梁に従ったものであろう。丸氏は頼朝から朝夷【あさひな】一郡の領有を認められたといい(金丸家系累代鑑・安房白浜),丸本郷(現丸山町)を拠点に威を振るったが,里見氏が興隆した15世紀後半頃には勢力は衰えた。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典(旧地名編)」
JLogosID : 7296738