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PHS
【ピーエッチエス】


personal handy phone system

 1.9GHz帯の周波数を使用したデジタル方式の移動体通信サービス。家庭用コードレス電話機の子機を外に持ち出すという発想で、電波システム開発センター(現電波産業会)が規格化した。
 携帯電話との違いは、基地局のカバー範囲(セル)が半径100~500m程度と小規模であること。このため、端末、基地局とも送信出力を低く抑えることができ(500mW以下)、端末の小型軽量化、省電力化に有利とされる。半面、移動中にセルをまたいでしまうことが多いという欠点がある。基地局間での通話情報の引き渡し(ハンドオーバー)に時間がかかるため、自動車などでの高速移動中は使えないとされてきたが、1999年から2000年にかけて、この点を改良した機種が増えてきた。1997年4月からはPIAFS方式による32kbpsデータ通信サービスを開始。その後、最大800kbpsまで高速化した。
 1995年7月にサービスが始まり、NTTパーソナル、DDIポケット、アステル(いずれも当時)の各グループが事業を展開した。サービス開始当初は安価な料金と端末価格により人気を得たが、携帯電話の低価格化とともに差異化が難しくなり契約が伸び悩んだ。
 既に旧アステルグループ各社は、データ通信に特化したケイ・オプティコム以外はいずれも事業撤退へ動いており、最後まで残った東北インテリジェント通信も2006年12月にサービスを廃止した。NTTパーソナルを吸収合併したNTTドコモも、2008年1月にPHSサービスを廃止した。
 一方でウィルコム(旧DDIポケット)は、米投資ファンドのカーライルや京セラから出資を受けて事業を再建、音声通話の定額制プランなどを打ち出したことで一定の契約数を伸ばした。その後、他社の第3世代携帯電話データ通信サービスへのユーザー流出が続き、収益が悪化。2010年2月に会社更生法の適用を申請。投資ファンドのアドバンテッジパートナーズ(AP)が出資してPHS事業を継続することになった。新サービスのXGPはAPとソフトバンクが出資する新会社に売却。PHS基地局の場所を利用する権利も提供した。
 中国でも、固定電話事業者が固定電話をコードレス化させたサービスという位置付けでPHSが利用され、費用体系も固定電話と同じとすることで利用者を伸ばした。2006年10月に約9341万契約とピークを迎えたが、その後は携帯電話の低価格化と多機能化に伴い契約数が頭打ちになった。

【参照語】
国際ローミング
PIAFS
セルラー電話




日経BP社
「パソコン用語辞典」
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