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美しい
【うつくしい】


utukusii

【古代】古くは、カワイイ、イトシイの意。時代とともに変化して、内面的にも外面的にもすべてにおいて、人を崇高にさせ、ゆとりをもたせ、好感をもって受け入れられる、均整のとれていること―これをウツクシイという。〈美しい〉は学問として〈美学〉が存在するように、多面的で奥がふかい。[中国語]美麗、好看、漂亮。beautiful, pure.

【語源解説】
本来は気品あふれ霊妙で、威厳のあるような存在をいうイツク。これを厳(イツ)クシと形容詞につくり、イとウと母音交替でウツクシが成立した。漢字では〈愛・美〉ときに〈慈〉などをあてたが、古代語と近代語とは対応の漢字にバリアントがある。近代語として、〈美〉に統合された。漢字、〈善〉・〈美〉ともに羊{ひつじ@ひつじ(羊)}がふくまれているとおり、肥えた羊→〈善(ゼン)・美(ビ)〉の意をもつ。

【用例文】
○于(ウ)都(ツ)倶(ク)之(シ)枳(キ)アガ若キ子(紀、歌謡)○大和の国は皇(すめ)神(がみ)の厳(イツク)しき国/うつくし母、うつくし言(こと)、うつくし妻(め)子(こ)(万)○三寸ばかりなる人いとうつくしうてゐたり(竹取)○いつくしくあざやかなに目も及ばぬ心地(源氏)○なにもなにも、ちひさきものはいとうつくし(枕)○娃 mini{宇(ウ)豆(ツ)久(ク)志(シ)支(キ)乎(ヲ)美(ミ)奈(ナ)}(新撰字鏡)○美しうまします女房(平家)○沢、慈、媚、仁、依、婉、恵、憐 mini{ウツクシヒ(イ)}/愛 mini{ウツクシ}(名義抄)○嚴(うつくしみ)、可愛(うつくしげなり)(落葉集)○Vtc{c}ucuxij. ウツクシイ ウツクシウハテタ=すっかり、きれいさっぱりおわった/猫ガウツクシウクウタ=猫がきれいにすべてたべた(日葡辞書)○美、いつくし(ぎやどぺかどるmini{〈字集〉})○可愛(ウツクシ)(易節用集)○{りっしんか)怜(うつくし)げなる当世男の采(とり)体(なり)〔様子〕/{おんなのぶん)婬(うつくし)/厳(うつく)しき(西鶴)○ぎゃうに〔たいへん〕うつくしいなんどいへばにくからず返答す(好色貝合)○何ほどうつくしき色をみても、心はほだされまじ/うつくしきかたちをうつくしとみぬものはなけれども、心をうつすとうつさぬとのかはりなり(好色袖鑑)○明月や座にうつくしき顔もなし(芭蕉)○皇{華78)(ウツクシ)mini{イツクシミ}、愛常(同)、可愛(同)、麗(同)、厳(同)(書言字考)○美(うつくし)(早節用集)○美しや野分きのあとの唐がらし(蕪村)○こいつはすてきと美(うつく)しい/美(いゝ)女(をんな)/女が好(い)ゝの美しいのと云(いつ)ても(浮世床)○舞(ぶ)台(てへ)顔が美(うつくし)く見えたさうさ(浮世風呂)○美しい顔、美しい女房、美しい花、美しい富士、美しい膝、美しく痩る(川柳)○宅(うち)に意(ゐ)気(き)な美(うつく)しいお内室(かみさん)が居(ゐ)る(梅暦)○亜(あ)墨(め)利(り)迦(か)人(じん)の女房(かゝあ)はがうきに美麗(うつくしい)ぜ(西洋膝)○ウツクシイ 美 ウツクシイ花。類義語 キレイナ、ウルワシイ/ウツクシクナル(ヘボン)○お銀(ぎん)の美貌(うつくし)さは光明を放つかとばかり(尾崎紅葉)
【補説】
現代語の〈美しい林、美しい友情〉などは後世の表現用法ながら、本義にはかなう。また方言では、部屋を掃除してきれいになったことを〈うつくしい〉と表現している例があり、中世からもみえる用法。一般に、漢字〈美〉で表記されるのは比較的新しい。中世で女性の名にウツクがみえる。⇒〈うるわしい〉




東京書籍
「語源海」
JLogosID : 8537194