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鶏冠木・楓
【かえで】


kaede

【古代】カエデ科の落葉樹。秋の紅葉が美しい。建築材として用いる。訛って、〈カイデ〉、俗称〈モミジ{モミジ@モミジ(紅葉・黄葉・{もみじ}・{きあか})}〉。[中国語]楓樹。maple-tree.

【語源解説】
漢字では〈槭〉が正式。葉の形が、蛙の手に似ているところからの命名。古名に〈カヒ(ヘ)ルデノ木〉とあり、カヘルデ→カヘデ→カエデとなる。現代と同じく、ラ行音のルが脱落した{らぎょうおんのだつらく@ラ行音の脱落}現象。

【用例文】
○黄変(もみづる)蝦(カヘ)手(デ)(万)○鶏冠木 mini{賀倍天(カヘデ)乃(ノ)木(キ)}/mini{加(カ)比(ヒ)留(ル)提(デ)乃(ノ)木}/楓 mini{和名、乎(ヲ)加(カ)豆(ツ)良(ラ)}(和名抄)○花の木ならぬは、かへで。桂。五葉(ごえふ)。そばの木。品(しな)なき心地すれども……(枕)○鶏冠樹 mini{加(カ)戸(ヘ)天(デ)}(新撰字鏡)○かいで(平家)○嘉禄二年〔1226〕十一月卅日天晴、鶏冠木ヲ栽ヱ了ル(明月記)○楓(カヤデ)〔カエデの誤りか〕(下学集)○鷄冠木(カイデノキ)(易節用集)○風にちらぬさまあぢきなし青楓(芭蕉)○楓(カヘデ)mini{カツラ}、鷄冠木(カヘデノキ)mini{カヘルデノキ}(書言字考)○鷄冠(かいで)(早節用集)○楓(カエデ)(雑字類編)○鷄冠(かへで)木(栞草)○カヘデ 楓 A species of maple.(ヘボン)○かへで{楓=鷄冠木=槭}〔蛙mini{カヘル}手mini{テ}ノ略〕(日本大辞書)
【補説】
漢字、〈楓〉は古代ではカツラ(桂)をさし、幕末まで〈楓〉は用いず、〈鷄冠木(カヘデ)〉が共通。楓(カエデ)は主として明治以降の使用。ヤツデ{ヤツデ}も八ツ手で、葉の形がちょうど指八本を広げた形に似ているところからの命名。命名にはこうした何か類似のものに準じての方法がとられる。




東京書籍
「語源海」
JLogosID : 8537352