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器量・嫖緻
【きりょう】


kiry^{o}

【近代】顔だちや容(よう)貌(ぼう)。ことに顔の美しい点にいう。[中国語]容貌、姿色。appearance.

【語源解説】
中国古典語。漢字で〈器量〉と書くように、器にもられた一定の量、転じて人の心の量(広さ)度量、才能や徳をさす。『晋書』『世説新語』などに、〈器量宏(コウ)曠(コウ)〉とみえる。それが転じて、日本では外観的な容貌の意をもった。漢字も〈嫖緻・嫖致・容色〉などをあてる。

【用例文】
○たとひ一子たりと云ふとも無(ぶ)器(き)量(りょう)の者〔器量のないもの。才能・徳のないもの〕には伝ふべからず(風姿花伝)○器(キ)量(リャウ)、器(キ)用(ヨウ)(下学集)○湛(たん)海(かい)〔人名〕、彼は器量第一の者にて候(謡曲)○Qiriv{o}.キリャゥ 優雅。また良い性質、すぐれた才能。キリャゥナヒト=容姿と風采のよい人。キリャゥコツガラ=優雅なこと、よい性質、体つき(日葡辞書)○支考は何(なに)角(か)に付ヶて第一きりゃう有人ニテ御ざ候(芭蕉)○そなたのやうないい器量で(狂言記)○娘は年わかくしかも町でも沙汰する程の器(き)量(りやう)よし(西鶴)○女房にわかれ……下女のおすけは女房にもおとらぬ器(き)量(りゃう)(黄表紙)○女房は野(や)暮(ぼ)な不(ぶ)器(き)量(りゃう)がいゝぜ(浮世床)○花やかに器量の乗せる玉のこし/きりゃうよい持参をと母おんな也/きりゃうの有る人争乱に早く出る(川柳)○阿(お)長(てう)とて今年十五の形(き)容(りやう)艶(よし)(梅暦)○器量 姿貌を云又胆気あるを云。武蔵忍(オシ)の辺、常陸水戸の人は人の長大なるを器量ヨシと云(俚言集覧)○嫖(き)致(りゃう)人並みに勝れ(三遊亭円朝)○どんなに嫖(き)緻(りゃう)の好(い)い子よりも(上田敏)○然(さ)う云ふ容(き)貌(りゃう)なら誰も打(うつ)棄(ちや)っとく筈は無いんだもの(小杉天外)○あれほどの器量は江戸にないといって(島崎藤村)
【補説】
現代でも小説など時代物などには、本来の意味の器量を用いている。また容貌の意が派生したのは17世紀後半ごろからであろう。なお、明治以降は漢字表記からも、女性の容貌への限定的用法が主となる。




東京書籍
「語源海」
JLogosID : 8537460