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シャボンだま
【しゃぼんだま】


[ポルトガル語]sab~{a}o・シャボン玉/syabondama

【江戸時代】〈サボン玉{さぼんだま@サボン玉}〉とも。シャボンをとかし松(まつ)脂(やに)をいれてつくった水溶液をストローのような細い管の先につけ、反対側から吹いてつくるシャボンの玉(泡)。また、はかないことやものの譬え。[中国語]肥{しろじゅう}泡。soap bubble.

【語源解説】
シャボンはポルトガル語、sab~{a}o。吉(キ)利(リ)支(シ)丹(タン)来日の16世紀に舶載された。のちオランダ語のゼープzeep、さらに英語のソープsoapと日本語に帰化。一方、中国から〈石{ろやねいちくちひと}〉も舶載される。シャボンは脂肪と苛性亜(ア)尓(ル)加(カ)里(リ)溶液を撹(かく)拌(はん)し香料を入れて製造、浴用と洗濯用とがある。しかし〈石{ろやねいちくちひと}〉は灰(あ)汁(く)がgpos{b}%gyodori[8]{%epsfile{file=eps/s001.eps}%}%素材。中国、明代に山東省済寧の各地から生産、日本に出荷された。焼灰や粉麪などをまぜて水に溶かし、のち乾燥させたもの、〈石{ろやねいちくちひと}〉の石は石のように固いゆえの命名。したがって、〈灰{ろやねいちくちひと}、花{ろやねいちくちひと}、白{ろやねいちくちひと}〉などとも異称。中国では本草学(薬学)の〈土〉の部におさめる。日本では、〈灰(はい)の塊(かたまり)、衣(きぬ)洗(あらひの)灰(はい)〉とよんだ。シャボン玉とはいっても〈石{ろやねいちくちひと}玉〉とはいわぬ点、成分をはじめ本源が異なるわけで、石{ろやねいちくちひと}とシャボンは本来そのモノは別。

【用例文】
○石{ろやねいちくちひと}(本草)○石{ろやねいちくちひと} 今案ニ波(ハ)伊(イ)乃(ノ)加(カ)多(タ)末(マ)里(リ)マタ云フ、岐(キ)奴(ヌ)阿(ア)良(ラ)比(ヒ)波(ハ)伊(イ) 是レ蓋シ今マ南蛮自(ヨリ)来ル志(シ)也(ヤ)保(ボ)牟(ム)之(の)類耶(か)(新刊多識編)○しゃぼん、泡(アハ)(類船集)○石{ろやねいちくちひと} 和名シヤボン煉ものなり、和産なし(物類品隲)○しゃぼん 暹羅などの産の灰汁をねりかため色白く味鹹きものをいふ。儒門事親にいふ花{いしみな}、本草の石{ろやねいちくちひと}也。衣服を洗ひて能(よく)垢を去の功あり。らていん〔ラテン語〕のさほうねより転訛せるなるべし、紅(オラ)毛(ンダ)語はせつぶといへり(倭訓栞)○しゃぼん 問て曰、石(せき){ろやねいちくちひと)(けん)をしゃぼんといふはいかに。答て曰、これは西洋雅言〔ラテン語〕にて「さぽ」〔sapo〕といふの転ぜるなり。和蘭国語にては「せいぷ〔zeep〕」といふなり、薬用には多く「すぱんせ・せいぷ」といふをつかふなり(蘭説弁惑)○しゃぼん(鳥羽絵欠び留)○サボン玉売 三都〔京、大坂、江戸〕トモ夏月専ラ売之(中略)小児ノ弄物也、サボン粉ヲ水ニ浸シ、細管ヲ以テ吹之時ニ丸泡ヲ生ズ、京坂ハ詞ニ「フキ玉ヤサボン玉吹ハ五色ノ玉ガ出ル……江戸詞ニ、「玉ヤ玉ヤ玉ヤ玉ヤ」(守貞謾稿)○しゃぼん売〔シャボン玉売り〕もうけも風の吹き廻し/しゃぼん売面目もなく吹き歩き/硝(ビイ)子(ドロ)の幽霊を吹くしゃぼん売り/吹けば飛ぶ裏屋住(ずま)居(ゐ)のしゃぼん売/つらぬきとめぬ玉ぞちるシヤボン売(川柳)○石{ろやねいちくちひと}、白{ろやねいちくちひと} シヤボン 紅毛ノ話ニセッブト云フ、羅(ら)甸(てん)ノ語ニサポーネト云(中略)舶来多シ、物ヲ洗ヒテ油アカヲ落スモノナリ(本草)○Zeep. 石{ろやねいちくちひと}(訳鍵)○石{ろやねいちくちひと}性剤(泰西熱病論)○卒達(ソーダ)〔soda〕は波{おうれい}〔硝子(ガラス)〕を製するに多く用ひ又番(シヤ){ろやねいちくちひと)(ボン)〔西洋石{ろやねいちくちひと}〕を製するにも用ゆ(厚生新編)○ビネチァ石{ろやねいちくちひと}、蕃{ろやねいちくちひと}(遠西医方)○男いろあさぐろけれどシャボンをあさゆふつかふと見えてあくぬけていろつやよく(安愚楽鍋)○シャボン 石{ろやねいちくちひと} スペイン語jabonから。soap. 同義語 セッケン(ヘボン)○石(シヤ){ろやねいちくちひと)(ボン)の匂をプンプン振り回し(福地桜痴)○濡手拭に石(シヤ){ろやねいちくちひと)(ボン)箱を包(くる)んだのを片手に(二葉亭四迷)○石(しゃ){ろやねいちくちひと)(ぼん)を塗(くつ)っけて呉れないか(漱石)○Soap. 石(セツ){ろやねいちくちひと)(ケン)、しゃぼん/Soap-bubble. しゃぼん泡(あわ)、しゃぼん玉(模範英和)




東京書籍
「語源海」
JLogosID : 8537636