躑躅・榴
【つつじ】

tutuzi
【古代】総称。山地に自生、また鑑賞用に栽培。常緑、落葉または樹。春、夏のころ紅、白などの花をつける。種類は多く、50種ほどがしられる。古く〈ひとりぐさ{ひとりぐさ}〉ともよんだ。[中国語]杜鵑。azalea.
【語源解説】
特定の名のツツジは存在しない。諸説あるも不詳。〈羊躑躅mini{以波都々之(イハツツジ)}〉は、〈羊ガ誤ッテ躑躅(ツツジ)を食ベルト死ス故ニ以テ之ヲ名トス〉(和名類聚抄)と説明している。そのように木であっても、〈躑躅〉などと命名したのは、動物がこれを食べると躑(テキ)躅(チョク)と足がなえて、動けぬ状態になる、一種の毒の木ゆえという。漢字、躑はタタズム、行キ悩ムの意。躅も同じ意。中国古典『荀子』〈礼論〉にも、〈躑躅〉を足ブミの意で用いている。日本名のツツジはあるいは花の形が筒(ツツ)状の点からか。
【用例文】
〇鷺坂山の白(シラ)筒(ツツ)自(ジ)/丹(ニ)筒(ツツ)士(ジ)/石(イハ)筒(ツツ)自(ジ)(万)〇槃 mini{豆豆自(ツツジ)}(新撰字鏡)〇菌芋 mini{仁豆豆之(ニツツジ)}、mini{乎加豆豆之(ヲカツツジ)}/羊躑躅 mini{以波豆豆之(イハツツジ)}、mini{毛知豆豆之(モチツツジ)}/山榴 mini{和名、阿伊豆豆之(アイツツジ)}(和名抄)○こうばい、さくら、ふぢ、やまぶき、いはつつじなど(源氏)○岩躑躅も異なる事なけれど折りもてぞ見ると詠まれたるさすがにをかし(枕)○いはつつじとりぐし(平家)○躑躅 ひとり草、異名也(藻塩草)○躑躅ヲツヽジトヨム字体、草木ニ縁无(ナキ)、如何……本名山(ヤマ)榴(ツツジ)也({あい}嚢抄)○躑躅(つつじ)一説に羊の性(せい)至(し)孝(こう)也。此花の赤き莟(つぼみ)をみて母の乳と思ひ躑(てき)躅(ちょく)して膝を折て飲{レ}之、故にしか云(馬琴)
【補説】
ほぼ古代から一貫して、〈躑躅〉をツツジにあてるが、他に〈榴・槃〉も用いる。現在、仙台に〈榴(ツツジ)ヶ岡〉がある。なお古典にみえるツツジはイワツツジが主。また、漢字、榴(ツツジ)は花が似ているところから石榴(ザクロ)のように考えたか。槃(ツツジ)は躑躅と同じで、とどまって進まぬ意。

![]() | 東京書籍 「語源海」 JLogosID : 8537807 |




