100辞書・辞典一括検索

JLogos

32

べそをかく
【べそをかく】


beso o kaku

【近代】古くは、〈べそをつくる〉。単独にベソだけでも使う。幼児の泣き顔のさま。[中国語]哭鼻子、要哭。be ready to cry, be almost in tears.

【語源解説】
〈べそ〉は古く〈へし・べし〉。ヘシは〈ヘシ折る〉のヘシと同じ。『万葉集』に〈姫押(をみなへし)〉(女郎花)と〈押(へし)〉をあててみえる。また、能面に口をかたく結んだ形の面を〈大壓(べし)〉とか〈べしの面(おもて)〉といった。『源平盛衰記』にも、〈べし口〉などがみえる。かたく口を結んだ形であるこの〈ヘシ〉が、ベシbesi→ベソbesoと変化(母音交替、i→o)し、幼児の泣くときの口の形をさすようになり、〈泣(べ)面(そ)〉などともあてた。ただし、ベソヲカクの言い方は江戸後期と思われる。

【用例文】
○はじめよりべし口(ぐち)にしてえも笑はず(源平)○ヘシクチ如何、へ字クチ也、和字ノヘニニタレバ也(名語記)○壓(ベヒ)〔ベシの訛り〕mini{推(ヲシ)一}(運歩色葉集)○Beximi, Beximino vomote. ベシミ、ベシミノヲモテ〔ベシミはベシ面(メン)の変化〕悪魔の面(日葡辞書)○壓(ヘス)(易節用集)○壓(ヘス)(書言字考)○盗人に泣(べ)面(そ)作らする法の徳/べそをかきかき牡丹餅を十斗(ばかり)/屁をひった事にも佐兵衛ベソをかき(川柳)○小児泣かんとする時の面(つら)つきをべそを作るといふもべし口也(俚言集覧)○ベソmini{〈俗語〉}まさに泣かんとするときの顔の表。ベソカク(ヘボン)○赤子は泣面(べそ)をかいた(徳田秋声)○のろまな生徒は(中略)べそをかきながら帰ってきた(安岡章太郎)
【補説】
江戸語では泣き虫を〈べそかき〉などとよんだ。




東京書籍
「語源海」
JLogosID : 8538056