ぺてん
【ぺてん】

peten
【江戸時代】だますこと、〈ぺてんにかける〉などと用いる。[中国語]欺騙。trickery.
【語源解説】
人をだます意の〈騙(ヘン)〉を中国語風にペテンと発音した和製中国語。〈騙〉は現代中国語でpien。そうした人間を〈ぺてん師(impostor)〉という。香具師(やし)ことばであろう。江戸後期に流行の中国俗語の流行にならって創作した語。
【用例文】
○あんな偽造(ぺてん)をしヤァしめへと思って(西洋膝)○どんな変転(ぺてん)に懸(かけ)られうも知れぬ(福地桜痴)○うぬ大それたぺてんしめ(黙阿弥)○Petenshi. ペテンシmini{〈俗語〉<} cheat.(ヘボン)○ハイカラ野郎のペテン師の、イカサマ師の……(漱石)○患者の弱みにつけこんだ単なるペテン師(安部公房)
【補説】
幕末から明治初期にかけての発生と考えられ、同じころのペケ{ペケ}―{2}中国俗語、不{くおおい}(原価をわって損する意)、駄目の意。またマレー語、pergi(ペルギ)―{2}などとも通じる。

![]() | 東京書籍 「語源海」 JLogosID : 8538062 |