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17

白雨・夕立
【ゆうだち】


y^{u}dati

【古代】夏の午後、夕方などに急にはげしく降る雨。古くは〈村(むら)雨(さめ)〉、別に〈俄(にわか)雨(あめ)〉とも。[中国語]驟雨。shower.

【語源解説】
〈夕(ゆふ)立(だち)の雨〉の略した言い方。ただし、漢字表記の〈夕立〉は17世紀以降一般化する。〈立(たち)〉は〈朝(あさ)立(だち)〉などの語もあるように、そうした気配が立つ意。〈夕立〉は夕方の気配がみえること。そうしたころ降る雨が、〈夕立の雨=夕立〉で、夏を主とする。〈白雨〉は古典中国語、色からであろうが、夏目漱石なども用い、ごく一般的であった。

【用例文】
○暮(ユフ)立(ダチ)の雨うちふれば春日野の尾花が末(うれ)の白露思ほゆ(万)○ゆふだちして名残惜しき宵のまぎれに(源氏)○夕(ゆふ)立(だち)のすこしくぼみたるに涓(たまり)水のたゞすこしゝたるに(古本説)○夕立の雲飛び分くる白鷺のつばさにかけて晴るゝ日の影(風雅集)○今日はたゞみはらなき〔し〕たまへ夕(ゆふ)立(だち)の神(曾我)○夕立(ダチ)mini{六月}(運歩色葉集)○夕(ユフ)立(ダチ)(雑字類書)○Yv{u}dachi. ユゥダチ 夏の雨、また雷雨(日葡辞書)○{さんずいひがし)(ユフ)雨(ダチ)、暴雨(同)、白雨(同)(易節用集)○夕(ゆふ)立(だち)(落葉集)○白雨(ユフダチ)mini{ユウダチ}涼風、夏山の雲、馬の背(セ)、鳴神(ナルカミ)/夕立の空(類船集)○白(ゆふ)雨(だち)は馬の背をわくる(世話焼草)○暴雨(ユウダチ)(便蒙抄)○色女の床入あはたゞしき事、夕立雨の濡也(好色貝合)○俄に夕立大ニ困リ入候(芭蕉)○白雨(ゆうだち)(西鶴)○夕立や田をみめぐりの神ならば(其角)○凍(ゆふ)雨(だち)mini{「尓雅註」}、白雨(同)、暴雨(同)、晩立(同)mini{俗字}(書言字考)○白(ゆふ)雨(だち)(早節用集)○夕立雲(ゆうだちぐも)でべったりじゃ(譬喩尽)○凍(ユウ)雨(ダチ)、白雨、驟雨、濯枝雨(雑字類編)○凍(ユフ)雨(ダチ)mini{ヨタチ}(俳題正名)○折ふし暴雨(ゆうだち)強(つよ)くおさき真暗にて方角を取(とり)違(ちがへ)/川風に座敷をあふがせ、夕立を酒と成し(洒落本)○夕立や草葉をつかむむら雀(蕪村)○夕立に暑さ何(ど)所(こ)へかぶん流し/夕立ややぶれかぶれの青い傘(川柳)○此間(こないだ)夕立に降(ふり)こめられて、雨舎(あまやど)りをした(梅暦)○白雨(ゆふだち)mini{よたち}……凍(トウ)雨(ウ)は夏天の暴雨也(栞草)○いそがずばぬれまじものを夕(ゆふ)立(だち)や(安愚楽鍋)○驟(ユウ)雨(ダチ) shower(ソウワア)(改英語箋)○ユフダチ 白雨(ヘボン)○白(ゆふ)雨(だち)棒(ぼう)をならべたてたる如くふりいだし(坪内逍遥)○里に着いた時(じ)分(ぶん)は山は驟(ゆふ)雨(だち)(泉鏡花)○鈍感(ぐづ)が驟雨(ゆふだち)にでも遭(あ)ったやうだ(尾崎紅葉)
【補説】
〈夕立は馬の背も分くる〉といわれる。夕立がごく狭い範囲に降るところから、馬の左と右の背で降るところと降らぬところが分けられるということ。古文書、古文献でみる〈夕立〉の表記はやや問題で、後世の書入れかもしれない。近代語、14世紀ごろ出現。俳句では夏の季語。




東京書籍
「語源海」
JLogosID : 8538214