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ほろ-ほろ
【ほろ-ほろ】


[副]

〔多く「ほろほろと」の形で用いる〕[1](木の葉などが散るようすを表して)はらはら。ぱらぱら。
[例]「いと荒(あら)ましき風の競(きほ)ひに、ほろほろと落ち乱るる木(こ)の葉の露の、散りかかるも」〈源氏・橋姫〉
[訳]「ひどく荒々しい風の激しい勢いのために、はらはらと散って乱れ落ちる木の葉の露が、降りかかるのも」


[2](人などが分かれて散っていくようすを表して)ばらばら。
[例]「修法(すほふ)の壇(だん)こほちてほろほろと出(い)づるに」〈源氏・夕霧〉
[訳]「加持祈祷(かじきとう)をするための壇をこわして、(僧たちは)ばらばらと退出するけれども」
[3](涙がこぼれ落ちるようすを表して)はらはら。ぽろぽろ。「ほろろ」
[例]ほろほろとこぼれ出(い)づれば」〈源氏・須磨〉
[訳]「(涙が)ぽろぽろとあふれ出るので」
[4](物が裂けたり破れたりするようすを表して)びりびり。ぼろぼろ。
[例]「とかく引きしろふほどに、ほころびはほろほろと絶えぬ」〈源氏・紅葉賀〉
[訳]「(光源氏と頭中将(とうのちゅうじょう)が)何やかやと引っぱり合ううちに、(直衣(のうし)の袖(そで)下の)縫い合わせていない所が、びりびりと切れてしまった」
[5]雉(きじ)や山鳥などの鳴き声を表す。「ほろろ」
[例]ほろほろと飛びてこそ去(い)にしか」〈大鏡・兼通〉
[訳]「(雉を冷泉(れいぜい)院の裏山に放すと)ほろほろと(鳴きながら)飛んで行ってしまった」




東京書籍
「全訳古語辞典」
JLogosID : 5073145