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恨む・怨む
【うら・む】


<一>[他][マ上二]<二>[他][マ四]<一>み/み/む/むる/むれ/みよ<二>ま/み/む/む/め/め

《不平・不満》不満に思う。恨みに思う。→<一>[1]
恨みごとを言う。→<一>[2]
恨みに思う。憎く思う。→<二>
《仕返し》恨みを晴らす。仕返しをする。→<一>[3]
《音》悲しげな音を立てる。→<一>[4]
「心(うら)見る」が変化したものとして、上代には上一段活用だったと考えられている。中古以降上二段、近世には四段に活用するようになり、現代語へとつながっていく。
<一>


[1](期待・予期に反することを)不満に思う。恨みに思う。憎く思う。悲しむ。
[例]「久しくおとづれぬころ、いかばかりうらむらんと、我が怠(おこた)り思ひ知られて」〈徒然・三六〉
[訳]「長い間(女のもとを)訪問しないでいたころ、(女が)どれほど私を恨みに思っていることだろうと、自分のいいかげんさが思い知られて」
[2]恨みごとを言う。不平不満を訴える。ぐちをこぼす。
[例]「◎花散らす風のやどりはたれか知る我に教へよ行きてうらみむ」〈古今・春下・七六〉
[訳]「◎(美しく咲いている桜の)花を散らす(この)風の泊まる宿をどなたかご存じですか。(知っているなら)私に教えてください。出かけて行って恨みごとを言いましょう」
[3]恨みを晴らす。仕返しをする。あだ討ちをする。
[例]「その人に会ひ奉りて、うらみ申さばやと思ひて尋ね申すなり」〈徒然・一一五〉
[訳]「(私の師を殺した)その人にお会いして、(師の)お恨みを晴らしたいとお尋ね申すのです」
[4](虫が)悲しげに鳴く。(風が)悲しげな音を立てる。
[例]「虫の声々うらみつつ、黄菊紫蘭(くゎうきくしらん)の野辺とぞなりにける」〈平家・五・月見〉
[訳]「(旧都は)虫の声が悲しげに鳴き、黄菊や藤袴(ふじばかま)などが咲き乱れるだけの野辺となってしまった」
<二>((近世以降))恨みに思う。憎く思う。
[例]「松島は笑ふがごとく、象潟(きさがた)はうらむがごとし」〈奥の細道・象潟〉
[訳]「松島(→まつしま)は(人が)笑っているようなところがあり、象潟(→きさがた)は恨んでいるようなところがある」




東京書籍
「全訳古語辞典」
JLogosID : 5089872