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大野田村[中部地方]
角川日本地名大辞典

(近世)江戸期〜明治7年の村名。安曇(あずみ)郡のうち。梓川の左岸,段丘上に位置する。北側は大明神山の山腹にあたる。古くは大怒田村とも書いた。松本藩領。上野組に属する入4か村の一つ。村高は,「慶長改帳」2石余,寛永19年の松本領村々高附帳(県史近世史料5−1)6石(畑方のみ),「正保書上」「元禄郷帳」ともに2石余,「天保郷帳」「旧高旧領」ともに16石余。慶安4年の検地帳によれば,反別は畑のみで2町7反余(うち麻畑2反余),本百姓5・門百姓4,高14石余(屋敷免を除くと9石余)。当村は,早くから松本藩の御用杣村となっており,庄屋は杣頭を兼ねていた。文久3年の杣人別書上によると,薪・榑木を扱う本杣27人・五分杣6人・炭杣9人のほか,桶師3人・大工3人・鍛冶1人・商人1人・軍夫面附4人などが書き上げられている。杣仕事は広大な中部山岳地帯の藩有林で働くのであったが,村自体としては燃料の薪などの採取地に乏しいため,島々村の伝馬役を一部負担することで,島々山での薪採取権を得ていた。しかし伝馬役勤めは,谷の右岸を野麦街道が通っていたことから難儀であった。幕末には,他村に先がけ一早く養蚕を取り入れた。春は桑樹の芽ぐむのが松本平で一番早く,また晩霜の被害も少ないことから,立地条件に恵まれていた。収繭は,製糸して売った。このため当地では出枠という仕組みが発達した。これは農家から買い集めた繭を,家内手間で繰り糸にするものである。慶応元年には,村内でこの出枠の賃銀の協定を結んでいる。協定では,出枠細糸1把につき銀32匁,中糸は銀26匁,太糸は銀20匁であった。この年,庄屋大野近右衛門は,これら出枠糸を集めて,提糸16貫190匁を代金460両1分で諏訪・金沢の商人に売っている。のち近代になって当村に専業の製糸工場ができることになる(大正6年に工場は焼失)。神社は伊勢二ノ宮神社がある。明治4年松本県を経て筑摩県に所属。明治2年に梓川に新淵橋が架けられた。明治初年の戸数42・人口205(県市町村合併誌)。明治7年安曇村の一部となる。