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横山古墳群[中部地方]
角川日本地名大辞典

坂井平野北東部の坂井郡丸岡町坪江から同郡金津町中川にかけての南北約3kmにわたる横山丘陵上に分布し,総数234基余りからなる古墳群。県史跡(昭和34年指定)。当古墳群は15基余りの前方後円墳と多数の円墳・方墳(あるいは方形台状墓)からなり,特に1古墳群内おける前方後円墳の数の多さは異例。そのうち3基が坪江地区の支脈上や平地に,5基が坪江地区から中川地区にかけての主稜線上に,7基が中川地区の支脈上に所在する。坪江地区の椀貸山(わんかしやま)古墳(坪江1号墳)は平地に築造され,周濠・葺石・埴輪をそなえる全長約45mの6世紀前葉の前方後円墳。横穴式石室には石屋形を付設しており,須恵器若干が出土。坪江2号墳は1号墳に隣接する推定全長30m弱の6世紀前葉の前方後円墳。墳丘は消滅したが,埴輪片多数,木芯鉄板張輪鐙1組,須恵器若干が遺存。神奈備山古墳(坪江4号墳)は支脈端部頂に築造され,葺石をそなえる2段築成の墳丘下には基台部を有する,全長約58mの6世紀中葉の前方後円墳。昭和30・52年の2度にわたり発掘調査が実施され,切石積みの横穴式石室には本来石屋形が付設されていたものとみられる。石室では副葬品の一部の銅鏡1面,耳環1個,挂甲1領,木芯鉄装壺鐙1組,須恵器多数などが,くびれ部頂では祭祀用の須恵器4個が出土。坪江地区から中川地区にかけての主稜線上の各前方後円墳は全長26〜47mで,いずれも未発掘であるが,立地や墳形から4,5世紀の築造と推測される。中川地区の各前方後円墳は全長25〜50m。中川10号墳(横山11号墳)は支脈端部上に築造され,埴輪をそなえる全長約43mの5世紀後葉の前方後円墳。昭和32年の発掘調査で,河原石積みの石室から鉄鏃1本,須恵器片2個が出土。中川65号墳は支脈頂部に築造され,2段築成の墳丘に尾張地方の地域色を有する埴輪をそなえる,全長約45mの6世紀前葉の前方後円墳。葺石状の石も散在。そのほかの前方後円墳も6世紀の築造と推測される。当古墳群の前方後円墳は4,5世紀に主稜線上に,6世紀に坪江・中川両地区の支脈上に造営されたもので,6世紀での増加が顕著。6世紀以降の円墳も多い。椀貸山・神奈備山両古墳は松岡古墳群に埋葬された大首長から首長権を継承した後期の大首長の墓と推定され,当古墳群の後期における著しい隆盛もそうした動きと無関係とは考えがたい。なお,北部九州系の石屋形や尾張地方の特色を有する埴輪の混在も交流を暗示しており,注目に値する。ちなみに,椀貸山古墳は椀子皇子の墓と伝承され,古墳群を継体天皇後裔氏族とされる国造三国公の墳墓群に比定する説がある。