三好村[東北地方] 角川日本地名大辞典

(近代)明治22年〜昭和29年の北津軽郡の自治体名。津軽平野北部，岩木川中流右岸に位置する。高瀬・鶴ケ岡・藻川の３か村が合併して成立。旧村名を継承した３大字を編成。村名は３村仲良くするという意味をこめて名付けられた（県市町村合併誌）。役場は鶴ケ岡に設置。明治24年の戸数349・人口２，250，厩300，学校１，船32（徴発物件一覧）。同31年三好村農会が設立された。同42年の戸数374・人口２，669。大正９年の世帯数386・人口２，355，うち職業別人口は農業１，955，工業107，商業51，交通業33，公務・自由業75，その他134。同15年郵便局取扱所が設置され，昭和10年三好郵便局に昇格した。同13年の反別は，田574町余・畑182町余・宅地10万577坪・原野88町余・山林17町余（三好村郷土誌）。同15年の世帯数432・人口２，701。十川が飯詰川・金木川を合わせて岩木川と合流する地域の新田開発は，洪水との戦いであった。三好村私設堤防事件は，明治28年嘉瀬・金木・中川と当村を含む４か村が連合して十川・飯詰川・金木川の築堤を計画，翌年藻川から鶴ケ岡まで１，800間の堤防を自費で築いたことから起こった。同30年県知事の原形回復命令が出てやむなく破壊した。昭和24年十川の湛水時間を縮小するため七ツ館より五所川原町の不魚住(うおすまず)までを開削して新十川とし，姥萢(うばやち)から下流の従来の十川を旧十川と呼ぶ（岩木川物語）。同28年十川・岩木川合流点の逆流防止樋門を鉄筋コンクリートにすることによって水害が解消された。同29年五所川原市の一部となり，村制時の３大字は同市の大字に継承。