庄司ケ岳[中国地方] 角川日本地名大辞典

玖珂(くが)郡本郷村の南東部に位置する山。標高約475m。古生代の緑色片岩で構成される。「注進案」には，「此地岩壁数仭薜蘿覆ひかぶさりしか近年野火入て枯槁せり，上に平坦の地あり，南北え広く中狭し，広き所ハ方弐拾間，狭キ所は左右え六七間，往昔江太庄司弘実といふ者の居城と申伝へ，北西は嶮岨にして登難し，深谷川端より峰まて凡五六丁，四方山の尾を掘切りて騎馬の往来を絶ツ」とある。南側山麓面には，地元でタテバタケと呼ぶ農耕地があり，中腹にはマツ・カシワ類を交えてマナ竹藪がある。地元では，この竹藪を遠見場と呼び，昔見張所があり，遠方から射られた矢がこの地に刺さって発芽したものとの伝えがある。また，頂上の手前４〜５間の所に左右の谷底まで達するような２か所の堀切があったが，その昔，敵を防ぐのにここから米を流したと伝えられている。昭和45年山頂にテレビ受信中継設備アンテナが設置され，そこまでは北東方約500m地点の雲照寺峠から車道が通じており，南麓の波野原集落からは林道が通じる。