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古墳時代後期後半(6世紀後半)の円墳群。麻植(おえ)郡鴨島町敷地字井堰1463‐1を中心に所在。鴨島町の南に広がる山稜の北に延びる支脈尾根上に点在し,県立鴨島養護学校裏山に位置する。海抜75m前後で,平野部との比高差は50m前後。北東部への眺望がよく,鴨島町の平野部を広く見渡すことができる。この地に精神薄弱者厚生施設が建設されることとなり,昭和57年から翌年にかけて鴨島町教育委員会が発掘調査。尾根北端から1号墳,2号墳,3号墳と並び,さらに南に数基の円墳群が確認されている。調査の対象となったのは1・2号墳。すでに着工されており,1号墳はその1割,2号墳はその半分が調査された。両者の間隔は約30mであり,2号墳が高位に位置する。1号墳は直径約15m,高さ約4m,2号墳は直径約20m,高さ約4mの盛土墳丘を持つ。1号墳は墳丘と石材(結晶片岩)の一部が遺存していたにすぎないが,横穴式石室を有していたとみられる。須恵器12点出土。2号墳では3つの埋葬施設が検出され,南から第1・第2・第3石室と呼称。第1石室は西に開口する横穴式石室。玄室と羨道の一部が遺存する。現存長約3m。玄室は長さ約2.5m,幅約1.5mで隅丸長方形の平面形を呈する。石室の上半は欠失し,高さは不明。石材は結晶片岩。玄室床面には砂岩小円礫が敷かれている。勾玉2,管玉3,水晶製切子玉1,水晶製丸玉1,メノウ製丸玉4,丸玉1,ガラス製小玉86点以上と鉄片や須恵器50点以上が出土。第2石室は中央に位置し,第1石室に平行する。小竪穴式石室で礫床とする。内法長さ約1.3m,幅約0.5m,高さ0.6m。結晶片岩を用いる。須恵器台付壺と刀子が出土。第3石室も第1石室に平行する。結晶片岩を用いた小竪穴式石室で,結晶片岩板石を床面に敷く。出土遺物はない。石室の構築は第1石室,第2石室,第3石室の順序とみられている。2号墳の第2石室と第3石室にみられる小竪穴式石室の形態は,鳴門市の萩原墳墓群例に石材の違いはあるが,類似が指摘されており,古墳時代後期の小竪穴式石室の研究に向けての好資料である。周辺には西宮古墳・東禅寺古墳群・日浦古墳群などがあり,古墳時代の墓域としての地域限定性を示している。文献は「吐気山古墳発掘調査概報」(鴨島町教育委員会,昭和58年)。
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